事実という寿命 ~AIBOのサポートが終了~

コラム

2006年3月に生産が終了。

部品保有期間が過ぎた2014年3月、修理窓口「AIBOクリニック」が閉鎖。

最近ちょいちょい関連記事を見るので少し思うところを書いておく。

色々と未来を感じさせる商品は有るが、AIBOはその中でもトップクラスだったように思う。

当時だけでなく、今でもそうかもしれない。

なぜそうだったのかは分からないが、商品に関わる事で理解が及ばない点が多かったためだろうか。

 

今回報道される中でユーザーのコメントとして見られる、『ペットが飼える環境じゃなかったので』のような話は、発売当時私の身内からも聞かれた話だ。

結局身内は“飼わなかった”のだが、その後も数種類発表されたり、類似商品、模倣商品が多数市場に溢れた記憶がある。

例えば、会員を募るビジネスが有ったとして、何らかの理由でそのビジネスを終了する必要が出た時に、会員に納得の行く説明ができるかどうかというのは大事だと個人的に思っている。

たとえ納得の行く理由が有ったとしても、便利に利用していたユーザーにとっては少なからずデメリットが発生する。
それがこのAIBOについては擬似的にかもしれないがペットである。

理由は様々だが、上でも触れたように『ペットが飼える環境じゃない』という方から、ペットロスに遭わないために動物の寿命を遥かに凌駕するだろう“ロボット”を選択した方もいらっしゃる。

勝手な話かもしれないが、一般ユーザーはそういうもので、まだ実用が日常ではなかった分野で言えば、ロボットはTVの中で見られるそれで、ほとんどメンテフリーだ。

メーカーは商品の一つであって生命を作り出したわけではないとするかもしれないが、単なる“物”にでも愛着を持つ方がいらっしゃるのは確かな事で、それがコミュニケーションがとれて擬似的にもペットとして“飼える”となると愛着だけだは済まない。

『ソニー製ではない、ソニー生まれである』これは初代AIBOのキャッチコピーだ。

メーカーも発売当初はテレビなどとは違い、本物の愛情を注いでもらえるペットとしていたと思う。

ペットに家族の誰よりも愛情を注ぐ方もいらっしゃるし、環境だけでなく健康の理由からも本物のペット代わりとしてAIBOを飼ってらっしるケースも考えられる。
テレビを買うそれとは全く別の感情が芽生えても不思議ではない。

AIBOは1999年に発売、修理窓口「AIBOクリニック」が閉鎖したのは2014年3月。
最初のモデルがここまでサポートしていたとして約15年、この時点で問題のないAIBOがそこから緩やかに“老化”していくとしてもメンテ無しでどこまで保つだろう。
最初のモデルが犬として寿命はそう違わない。

ものには寿命がある。

これは生命だけではなく人間の作り出したものも同様かもしれない。

ただ今回は残念だったのは本物のペットとそう変わらない寿命という結果が出た事と、ペットだと思っていたAIBOが実は“製品”だったとして、メーカーのサポートがテレビなどと同様に扱われた感が否めない事だろう。

以降のサポートとして有志が手を挙げているが、純正部品は当然無いので手に入らない物については自ら作るとの情報もある。

ということは吉だけでなく凶が出ることもあるということだ。

上でも触れた会員を募るサービスの会員がこちらでは“飼い主”になる。
極端に言うと『ロボットなので死ぬことは無い』と信じていた“飼い主”に事実という寿命を告げる事になったわけだ。

本物のペットの寿命を告げるよりもひょっとすると残酷な事だったのかもしれない。

やっぱり必要なことは『手は尽くしたのですが・・・』という誠意のように思う。

今回炎上とまで行っていないのには有志の存在があるが、果たしてメーカーは『手を尽した』のか。

発売当初は従来製品でない何かを生み出したとしていたAIBOを、やっぱり“製品”でしたとしてしまったところに飼い主等との歪みが生まれてしまったのだろう。

サービスの終了なども、従来製品とは違う演出か何かが無かったのだろうかと考えさせられた。

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