伝えない努力

私等フリーでウェブ制作を行っている場合ほとんどの場合一人で制作をするのだが、
プロジェクトでウェブ制作にあたる場合役割分担が存在する。
ここで個々が自分勝手に作業を進めてしまうと足並みが揃わないばかりか二度手間三度手間が増えてモチベーションも・・・
そうならないようにする為にプロジェクトを統括するプロデューサーと制作現場を統括するディレクターが必要になる。


最近、色々業務委託されている会社(以下:A)で既にフリーのウェブデザイナー(以下:B)がブッキングされている状態から
成り行きでディレクションをする事になった。
既に立ち上がっているウェブサイトで立ち上げ時にもアドバイザー程度でミーティングは参加していたが今回はリニューアルである。
さて、先ずは会社Aのメンバーでコンテンツを整理する作業から。
既存のサイトを叩き台にして必要なコンテンツを挙げていき、次に各コンテンツの内容をつめていく。
ここで起きる事は会社Aのメンバーはウェブ制作に関しては素人である、そんな事は当たり前だがこちらが直感で足りない物があったり不必要な物が
あった場合、例え話等で伝えようとしてもイメージできなくてフリーズしてしまう。
こんなことは、特別ではなくい一人で制作する場合、同じような事が多くスムーズに行く方が珍しい。
今回はプランニングの始めにホームページを持つ動機をメンバーで確認するようにした。
何しろ『ホームページが欲しい!』『必要だ!』等と思っている者と実際に制作グループに加わる者は違うことが多い。
動機が薄いとモチベーションも上がらず良い物も出来ることは無い。ホームページ以外にでもあることだが。
ここまでは今まででも経験があった事に近いのだか、細かくいうと今回は会社Aに業務をいたされているという事からBにとって私は会社Aのメンバーである。
つまりポジションがクライアント側にあるにもかかわらずディレクションをするわけだからBにとっては私からの軽い要望・提案から全て指示と受け取られ易い。
しかも私も制作をする人間で
「こんなイメージ・・・」なんて伝えると全くの焼き増しは無いにせよほとんど同じか近い物を提出されてしまう。
全てにおいて私のイメージや制作する物が正解だとは思っていないので、Bが提出してくる物と優劣をつけるというのはナンセンスなのだが、
コチラとしては伝えた材料とイメージからB自身が持っている解釈やデザイン力をもってそれを越えたり良い意味で裏切ってほしいのだ。
この点には本当に手こずった・・・いや、まだ完成していないので手こずっている・・・か。
と、いうことで、こちらとしてはBに材料や意図、イメージを伝える方法を試行錯誤してみて落着いたのがペンタブを使う方法だ。
『何~だ』と、思われるかもしれないが、グラフィックデザイン等はしてもイラストを描かないので今までペンタブを使った事が無かったのである。
いままでは、提出された画面イメージに変更を加えて送り返していたが、それでは上記で書いたようにレスポンスがコチラのイメージを越えない。
しかし、提出された画面イメージにフリーハンドで色々メモって送り返すと明確なイメージが伝わりにくい分そこはBのイメージ力やデザイン力に任せられる
今まで一人でやってきたので、このディレクションやプロデュースという作業は非常に興味があったのだが、
こんなにデザイナーにコチラのイメージを過度に伝えない事が難しいとは思わなかった、制作する中でクライアントに自分のデザインを説明するよりも難しい気がする。
しかし、やりがいはかなりあって私にとってはメリットがかなり大きい。
今回のこのプロジェクトはかなり自由に私の思い通りやらせてくれているので、来たるべき時のリハーザルだと思って気合いを入れているのだが、一人で制作している手前デザイナーに心を鬼にして接する事が難しい、同情してしまう事すらある。
実はそこが一番難しいかもしれない。

コメント